※岬にいる死神↑
スピッツのデビューアルバム「スピッツ」の8曲目「死神の岬へ」
死神の岬へ
作詞:草野正宗 作曲:三輪徹也
「死神」というとどろろ~ん、どよよよ~んとした不気味で暗い曲をイメージしますが、楽しそうな曲調です。
楽しい曲調の中にも、ファルフィッサオルガン(Farfisa Organ、演:矢代恒彦さん)がバックで鳴り響いていて、ファルフィッサオルガンの不安定な音のゆがみが曲のアクセントになり、死神の不可思議な存在が表現されているように感じます。
※ファルフィッサオルガンについてはこちら↓にめちゃくちゃ詳しく書かれています。
「死神の岬へ」の歌詞ってなんとも不思議で。
愛と希望に満たされて 誰もかもすごく疲れた
「死神の岬へ」の歌詞引用
「愛と希望に満たされ」たら「幸せに暮らしましたとさ」となりそうなところを「誰もかもすごく疲れた」という言葉が続く。
「え?」と引っかかる言葉の選び方と考え方。すごい。
死神が遊ぶ岬を 目ざして日が昇る頃でかけた
「死神の岬へ」の歌詞引用
二人で積み上げて 二人で壊したら
朝日に溶かされて 青白い素顔があらわれた
「死神の岬へ」の歌詞引用
死神が遊ぶ岬に「日が昇る頃」に向かうという、「生」をイメージする朝日と死神の対比がおもしろい。
「自分から死神の元へ向かっている」=「自死を選ぼうとしている」と考えられるし、
いくつもの抜け道を見た
「死神の岬へ」の歌詞引用
という歌詞から、「死」以外の選択肢を見つけて結局は生きて帰っていく、という解釈ができると思います。これは歌詞の意味を深く考察している方がよく仰っていますよね。
私は単純な人間なので歌詞の深読みとかはできないのですけど、この曲のイメージが2つありまして。
一つ目は、怖い映画に出てくるような死亡フラグ立ちまくりのあほなカップルが、退廃的な気分になって死神の岬へへろへろ~と出かけて行って、死神が現れたけど死神ともへろへろ~と仲良くして「じゃあね、バイバーイ!」とへろへろ~と帰っていくイメージ。
もう一つは、怖い映画に出てくるような死亡フラグ立ちまくりのあほなカップルが、退廃的な気分になって死神の岬へへろへろ~と出かけて行って(ここまで一つ目のイメージと一緒)、案の定死神が現れてタマシイを抜かれる。死ぬ間際に走馬灯のように様々な景色を見る中で「いくつもの抜け道」を見る。他にも選択肢があったのにそれを選ばずに死を迎える。そんなイメージ。
どっちのイメージも好きなので、どっちのイメージも持ったままこの曲を聴いて楽しんでいます。
スピッツの歌詞は聴き手次第で様々な解釈ができ、色々とイメージを膨らませることができる。そしてどんな解釈も受け入れてくれる度量の広さがありますね。すんごいな!!